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FPP 風俗写真プロジェクト(Fuzoku Photo Project)は、性風俗店の広告を扱う代理店の撮影部です。主に首都圏の性風俗店からのご依頼のもと、風俗店で使用される在籍写真や動画を撮影しています。

撮影コラム

風俗カメラマンが現場で感じたあれこれを語ります。今回は風俗写真、その背景の面白さについて!

投稿日:2022年2月9日 更新日:

風俗写真の背景がおもしろい。

皆さんは、風俗店の在籍写真を目にするとき、どこに注目しますか?そこに写っている人物の顔や、体、着衣、などそれぞれに着目点があるかとおもいます。使われているレンズやライティングを注意して見る人もいるかもしれませんが、私の場合は背景です。そこに写っている人物もさることながら、どこで撮られているかその背景がとても気になります。
さて、今回は風俗店の在籍写真から感じられる面白さ、特に写真が撮られる場所に関して、考えを巡らせます。

 

【場所がお店のイメージを決める】

撮影が行われる場所は、大きく分けると、店舗のプレイルームや浴室、ラブホテルやレンタルルーム、デリヘルの事務所、お店が用意している簡単なスタジオ、風俗店の在籍写真撮影をなりわいとしている営業スタジオ、あとは屋外です。
女性は人それぞれ個性がありますが、ほとんどの場合、女性の顔は隠される対象でもあるので、お店のイメージを決定づけるのはむしろ、撮り方や服装、その背景の方です。
私が背景にこだわるのは、背景は写真の基礎的な構成要素ではあるものの、風俗の在籍写真を撮ったり、見たりするにあたって、最も軽視されているのではないかと思うからです。軽視されているからこそ、当人が意図しないことが現れてきます。
撮影場所は様々です。事務所の一室の物置となっているような場所で撮ることもあれば、1泊10万円以上のシティホテルの一室で撮ることもあり、私は初めての現場に赴くたび、その幅広さに驚きます。広くて綺麗な現場の方が撮りやすいですが、私は「え、こんな所で……」という場所もよくあります。事務所の玄関や、個室待機の仕切られた1畳ほどのブースの中で撮ることもありました。撮りにくくはありますが、むしろ制限があるほうが、撮るのが面白くなります。

 

【風俗店と場所のつながり】

風俗店とそれが位置する土地は繋がっているのではないかと思います。写真を撮りに関東の各地の歓楽街や郊外にあるデリヘルの事務所に脚を運んでいると、その土地がお店に与える影響を感じずにはいられません。写真の背景にその場所の雰囲気が自然と見えてくることがあります。歌舞伎町のお店なら歌舞伎町の雰囲気、渋谷のお店なら渋谷の雰囲気が感じられます。一方営業スタジオでの撮影はロケとは対照的です。当たり前ですが、スタジオは移動せず同じ場所にあります。営業スタジオには大手の媒体が用意しているスタジオや、独自に料金を定め、営業をしているスタジオがあります。スタジオは、そこにいるカメラマンが照明機材や部屋を熟知しているので、写真の仕上がりは十分期待したものと相違ないはずです。ただ、そのスタジオを利用している他店と同じような写真がたくさん作られることが写真を見る立場からすれば、面白くないかもしれません。

 

【人物の背景からにじみ出るノイズのおもしろさ】

デリへルの事務所の中や、ヘルス店内、ラブホテル等、場所に出向いて撮っていると、土地柄が写真画像にどことなく滲み出てきます。よく背景を見ると、いろんなものに気づきます。たとえば、デリヘルの事務所で写されたものを見ると壁と、床の間に巾木がありますが、巾木の色や素材感で、建物の新旧などが何となく感じられますし、映り込んだコンセントの形状やエアコンでも同様です。巾木やコンセント等は隠される対象ですが、隠す方法として布を壁から床にかけて用いるお店がありますが、関東有数の繊維街がある日暮里のとあるお店は、布を色々と持っていて、面白い柄も揃えてあったのが印象的でした。
ラブホテルの広さも、都心では狭く、郊外では広くなってきます。巣鴨や歌舞伎町の一部には古風な昭和レトロなラブホテルも残っていて、お客さんの層に合わせて、あえてそこを撮影に選ぶ老舗のデリヘルもあります。レンタルルームで撮影することもあります。レンタルルームの簡素な部屋とベッドは、郊外ではまず見られないものです。
無論、野外での撮影はさらに背景の違いが顕著です。都市部の公園なら、昼時にはそこで仕事をしている人々の昼休み中の外出姿や、郊外の公園なら、のんびりした人たちの様子が、背景からでも見てとれます。写真を撮る際によく頼まれる、背景をぼかして欲しいというのは そういったノイズがうとまれるからでしょう。ですがそのノイズこそ面白く、場所の独特さがにじみ出てきます。私はいろんお店の写真を見るとき、それを味わいたいのです。背景の中でぼけているものの、通行人の姿から街の様子がうかがえ、デリヘルの場合なら事務所の近くで撮られたとすると、どういうところに事務所を構え、拠点としているのか想像できます。

 

【ソープランドの写真の特質】

ところで、ソープランドにおける在籍写真は、スタジオで撮られることがほとんどです。以前は、風俗誌などの取材ではソープランドの浴室を用いて写真が撮られていましたが、風俗雑誌の衰退で今はほとんど見られなくなりました。
ソープランドのパネル写真は、広告写真ではなく、被写体が自ら写った写真を消費する営業写真(写真館に撮りに行く家族写真など)に近いかもしれません。歴史をひも解くと、戦後すぐ吉原で写真館が営まれていたのは、来店者に写真を見せるというよりもその店に在籍する女性が郷里に自身の写真を送るためだったといいます。つまり、お客さんが女性を選ぶための写真というよりも、女性自身のための写真だったのです。
デリヘルやヘルス店では、お店が撮影料を負担するのが一般的ですが、今も吉原の一部のお店では、在籍女性が撮影料を自己負担しているようです。ソープランドの写真は広告写真というより営業写真(写真館で撮られる家族写真、ブライダル写真等、撮られる人がお金を出す写真)に近い形かもしれません。

 

【スタジオ写真のフラットさ】

スタジオ撮影は、場所(特に地名)から切り離されることで成立します。白ホリゾントや背景紙だけの背景を用いた在籍写真を以前(2000年初頭)はよく見かけましたが、今は無国籍なインテリアを設えた明るい部屋風になっていることがほとんどです。スタジオを利用する撮影は確かに効率的かもしれませんが、背景が同じことから、他店と重複してしまうマイナス面もあります。それなら、もう一度無背景の白ホリゾントや背景紙を用いた写真がリバイバルされると面白いかもしれません。スタジオで撮られた写真も大きな視野で見れば、その撮られた時代の雰囲気を写し取っているのかもしれません。人物を切り抜いて、そこにはない背景と綺麗に合成するサービスの風俗写真スタジオもあります。これは、SF映画や、昨今のビデオ会議の背景を合成するのを思い起こさせおもしろい試みだと思います。

 

【まとめ。想像力を膨らます背景】

写真を撮影していると時折、外の音に気付くことがあります。歓楽街の喧噪や、踏切の音、隣室でのプレイ時の声、隣家の物音、学校が近いと下校途中の児童の声そういった色んな音は写真には写りませんが、それら周りの音こそが隠しようのない環境です。
写真を見る側も、撮る側のお店も場所に関してより意識的になることで、在籍写真がより面白くなるのではないでしょうか。その場所固有の雰囲気に気づくことで、匿名性が強いばかりの写真に彩りを与えることができるのかもしれません。背景となっている場所の良し悪しを求めるのではなく、その場所を味わってみようとする態度で風俗店の写真に接すると、面白さが一層深まるのではないでしょうか。

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